お化粧に余念のない学生たちにいうことがあります。
「きれいになるのも結構。きれいになるためには、化粧品にしてもエステに通うにしてもお金が必要。皆さんは、きれいさとともに、美しさを育ててゆく人であってほしい」
美しくなるためには、お金は不要。
それは、心の輝きであり、痛みを伴う自己管理、自己抑制が必要なのです。
かくて私は、学生たちに「『面倒だからしよう』と呟いて、『しようか、どうしようか』と迷う時には、してごらんなさい。きっと、その積み重ねが、あたなたがたを美しくしてくれるから」と話しています。
『泥かぶら』という劇があります。
真山美保さんの作ですが、泥んこのかぶらのような醜い顔ゆえに、村の悪童たちから、“泥かぶら”とはやされ、いじめられていた一人の少女が、「仏のように美しい子」へと変わっていったというお話です。
何が、この女の子を美しくしたかといえば、旅のおじいさんが教えた三つのことを、来る日も来る日も、自分と闘って実行したからでした。
その三つとは、
いつも、にっこり笑うこと
ひとの身になって思うこと
自分の顔を恥じないこと
アンチエイジングに心を砕くより、私たち一人ひとりも、この三つを、自分に課してはどうでしょう。
「私から歳を取り上げないでください。なぜなら、歳は私の財産なのですから」
といった人がいます。
私も“財産”と呼べる歳を取りたいと願っています。
そのためには、一人の泥かぶらとして、「笑顔、思いやり、そして自己受容」に日々努めなければと自分にいい聞かせている毎日です。
『面倒だから、しよう』幻冬舎
相田みつをさんの、「現代版禅問答」に
「ほとけさまの教えとは
なんですか?」
ゆうびん屋さんが困らない
ようにね
手紙のあて名を
わかりやすく
正確に書くことだよ
「なんだ、そんなあたりまえの
ことですか」
そうだよ そのあたりまえの
ことを こころをこめて
実行してゆくことだよ
(以上、同書より)
「面倒だから、しよう」とは、相手の立場に立って、面倒がらずに、些細(ささい)な良きことを心をこめてやること。
当たり前のことを心を込めてするには、そこに感謝の気持ちが必要だ。
「笑顔、思いやり、そして自己受容」
一人の泥かぶらとして、来る日も来る日も、努力を重ねたい。
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